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A5 364ページ
【版元サイトから】1956年10月14日、「不可触民の父」と呼ばれるB.R.アンベードカル(1891-1956)は、30万人以上の元不可触民を率い、インドのナーグプル市でヒンドゥー教から仏教へ集団改宗した。
本書は、集団改宗とアンベードカルの死去から半世紀が経過した現代インドの仏教徒たちと、不可触民の解放に取り組む反差別運動をめぐる人類学的研究である。
このポスト・アンベードカルの時代において不可触民解放運動は、進むべき明確な道を見出せないまま、もがき苦しみながら前に進み、元不可触民の人格は「怒り」や「暴力」といった言葉で表現されてきた。2000年から2016年までの間に合計2年の現地調査を実施した筆者は、同一性の政治学(アイデンティティ・ポリティクス)の特徴を持つ不可触民解放運動に加え、仏教徒たちの生活世界から立ち上がる寛容の論理に目を向ける。そこでは活動家、仏教僧、在家信者、「半仏教徒・半ヒンドゥー教徒」、「改宗キリスト教徒」、仏教僧佐々井秀嶺(1935-)の視点と実践がボトムアップの視点から論じられ、在家信者が活動家となる動態性や、仏教への改宗後もヒンドゥー教への信仰を捨てきれない輻輳性が明らかになる。
同一性の政治学は、元不可触民に自己尊厳を与え、数多くのアンベードカライトを産出してきた。同時に、ヒンドゥー教を「差別と迷信の宗教」、仏教を「平等と科学の宗教」と定義し、排他的な当事者性に依拠するアンベードカルの教えは、他宗教信者との間で暴力的な対立を発生させている。これに加え、活動家が「半仏教徒・半ヒンドゥー教徒」や「改宗キリスト教徒」の家から他宗教の神々の像を回収・焼却することで、被差別者の中の被差別者が創り出される。そこでは活動家自身もまた、「差別に抗する団結か、家族との愛情か」という二者択一のジレンマに直面している。
グローバリゼーションがもたらす流動化と不確実性の中、反差別運動の論理に反する生活世界の他者の声を聴く(聴かない)ことは、仏教徒たちの不可触民解放運動にどのような展開をもたらしているのだろうか。
本書では、複数化や動態性を特徴とする生活世界の寛容の論理が、閉鎖性や排他性にかかわる同一性の政治学の中に入り込み、それとは別の運動を生み出していることを議論する。より具体的には、「半仏教徒・半ヒンドゥー教徒」がブリコラージュを用い、等質性なきものが協働する連帯を創出し、佐々井が生成変化の政治学を通じて、不可触民解放運動の当事者性を拡張することを考察する。
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