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遺産相続ゲーム/ミヒャエル・エンデ

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文庫 306ページ

【版元サイトより】
とある謎めいた館に十人の遺産相続人が招集され,十の紙片に分かれた遺言状を渡された.相続人たちは,協力してこれらをつなぎあわせることができるのか.大いなる遺産とは何か…….『モモ』や『はてしない物語』につながる思想宇宙があらわれているといわれ,現代社会への痛烈な批判がこめられたエンデ初期の傑作寓意劇.

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『モモ』 『はてしない物語』をはじめとする児童文学で日本でも有名なエンデが,若い頃は演劇に打ち込み,戯曲もいくつか書いていることはあまり知られていません.にもかかわらず,エンデが初めて腰をすえてじっくり書いた処女作といってもいい作品が,この『遺産相続ゲーム』という戯曲だった,ということは注目に値します.
 しかもこの戯曲のフランクフルトでの初演(1967年)は大失敗に終わり,エンデはそれがトラウマになったのか,次の戯曲(『サーカス物語』)を書くまでに15年以上の歳月がたっています.また,1984年の再演でようやく好評を博した後に出版されたティーネマン書店版(1989年)では,長々しい「はじめに」をはじめとして,登場人物の説明や作者ノート,「火事を消さなかった理由」にいたるまで,様々な「付録」がついています.これらは,作者のこの戯曲にたいする並々ならぬ愛着を物語っている,といってもよいでしょう.今回の現代文庫版では,この「付録」から新たに「こんなエピローグもありかな?」を訳出し,付け加えました.
 おおまかな筋書きは以下の通りです.
 とある謎めいた館に10人の遺産相続人が招集された.遺言状は10の紙片に分かれていて,相続人たちはそれぞれ一片ずつを貰う.これらをつなぎあわせれば故人の遺言はわかる,というのだが…….
 たしかに全集版の平田オリザ氏の解説にもあるように,この作品は「上演を前提とした戯曲としては明らかに失敗作」なのかもしれません.でも,だからといって文学的価値がないというわけではありません.『自由の牢獄』の訳者であり『エンデを旅する』の著者・田村都志夫氏は,「この初期作品にはすでに,のちに『モモ』や『はてしない物語』を書くことになるエンデの思想がほぼ出揃っている」といいます.
 ともかく,エンデ文学の真髄を知るのにこの初期作品をさけては通れないことは明らかですし,何よりも「読む戯曲」として大変面白いです.そして,林光氏の解説にあるように,いろいろな情景を想像しながら読む,という楽しみかたがこの戯曲にはあっているのではないか,とさえ思えます.いわば,実際に上演されるよりも読者の想像の舞台のうえで繰り広げられる情景を楽しむ,という楽しみかたが.そして,そこにこめられた現代社会に対する鋭い批判の力も,そのような楽しみ方のなかで生きてくるのではないか,という気がするのです.読者自身が,どんなエピローグがふさわしいかを,自由に頭のなかで想像し,選択することを問いかけてくる戯曲として.
(現代文庫編集部 中西沢子)

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