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送別の餃子 中国・都市と農村肖像画/井口淳子

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A5変型 224ページ

初版が出て間もなく手に取ったのは、その餃子の皮のようなもちっとした手触りの装丁に惹かれたからです
小説などを読み漁ったり、異なる文化に憧れてた高校生だった私が2000年を目前にして大学で選んだのは東洋史でした。中近世〜近代の説話などを読み、『大地の子』を読み、張芸謀や陳凱歌の映画を知り、抱いていたお隣の国への義や情、豊かな諸芸への印象は、急速な経済成長、押し寄せる観光客、2国間のすれ違いなどから、正直に言うとだんだんとあまり良いものではなくなっていきました。
この本では文革後の激動のなかで出会った、気難しかったりもしながら情のある、そして力強い人びとについて語られます。私が思い描いていたような人びとはやはり居たし、居るのだな、と懐かしさとともに、ほろりとさせられたのでした(H)

【版元サイトから】中国の北方では、人々は別れの時に、手作りの水餃子を囲んでその別れを惜しむという。
自身の研究分野を「民族音楽学」に決めた著者が選んだ調査地は中国の農村。1988年、文化大革命後に「改革開放」へと舵をきった中国で、右も左もわからぬまま「研究」への情熱と未知なる大地へのあこがれだけで、彼女のフィールド調査がはじまった。

中国の都市や農村での調査をきっかけにさまざまな出会いがあった。「怖いものはない」という皮肉屋の作家、強烈な個性で周囲の人々を魅了し野望を果たす劇団座長、黄土高原につかの間の悦楽をもたらす盲目の芸人たち……「親切な人」とか「ずる賢い人」といった一言では表現できない、あまりにも人間臭い人々がここにはいる。それぞれの物語で描かれている風土と生命力あふれる登場人物に心うごかされ、人の心のありようについて考えてみたくなる。
1988年以降の中国という大きな舞台を駆け巡った数十年間には無数の出会いと別れがあった。その中から生まれた14の物語をつづったエッセイを、40以上のイラストとともにお届けします。

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